良性発作性頭位めまい症(BPPV)の治療(Epley法.エプレイ法.エプリー法)について
▼めまいといえば、メニエール病を思い起こす方が多いと思いますが、耳から来るめまいで一番多いのが良性発作性頭位めまい症といわれています。内耳の三半規管の異常でおきると考えられている疾患です。
▼その名のとおり、半規管は3個あり、互いに直角の関係にあります。半規管の中には管があり、その中には液が入っています。頭が動くとその液も動きます。その液 の流れを半規管内の細胞(クプラにあります)が感じることにより人間は頭がどう動いているかを無意識のうちに認識しています。
▼ところが、その半規管に結石(浮遊耳石)が出来ることにより、その流れに異常が生じます。そのため半規管から脳へ伝えられる信号も異常なものとなります。このときヒトはめまいを感じます。
▼このうち、一番異常が起きやすいとされているのが後半規管です。この後半規管に出来た浮遊耳石を半規管外に出す方法(浮遊耳石置換法)がEPLEY法です。
▼但し、この治療法が万能というわけではありません。あくまで、後半規管にできた浮遊耳石に対して有効な例があるということに過ぎません。
マスコミを含め、この方法がめまい疾患全般に対して有効であるかのような誤解を招きかねない扱いをしていることに危惧を覚えます。
平衡神経科学を修得した耳鼻咽喉科医の正しい診断のもとに治療を受けるべきと考えます。
下に治療方法を示しておりますが、疾患の理解のために記載しているものであり、ご自分でこれを真似て行うことのためではありません。御自分でされることはお勧めいたしません。
▼右三半規管を右斜め前から見た図 (ピンクが後半規管)
▼頭と三半規管の位置関係
後半規管(ピンク)と耳介の位置関係がよく似ている。
クプラは耳垂(耳たぶ)と思うと良い。
▼少し外に立った耳介を想起してください
▼ この後半規管の結石は、卵形嚢平衡斑から脱落した耳石粒・塊であると考えられています。
▼Epley法の実際の仕方を紹介します。
右後半規管結石の場合です。
1.座位(浮遊耳石の動きを黄色で示しています)
2.右45度頸部捻転して懸垂頭位を取る。
浮遊耳石はクプラから離れていく
3.懸垂頭位のまま左45度に頸部捻転
4.さらに体全体を90度左へ回転
5.頭と体の位置関係を保ったまま体を起こす。
浮遊耳石は後半規管の外へ出る。